空想商會

日々の記録。料理やカフェや雑貨の話題が多めです。

松林図屏風(国宝)

2024年1月、東京国立博物館で見たものの覚書です。

◼️松林図屏風 6曲1双  紙本墨画 長谷川等伯安土桃山時代 16世紀 国宝

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本館2階2室「国宝室」に展示されていました。2024/1/2〜2014/1/14の期間限定です。朝イチで行ったにもかかわらず熱心なリピーターとおぼしき人たちがすでにそこそこ集まっていました。

撮影可とあって多くの人がカメラやスマホを構えていたので、わたしも隙間から撮らせていただきました。一眼レフ的本格カメラを構えている古参たちの中にあって、わたしはニワカなのでちょっとだけ遠慮して斜めから撮影(別にマウントをとられたりすることはなく、みな快くゆずりあって撮影していましたが)。

作品についてですが、国宝「松林図屏風」は長谷川等伯の代表作です。「美術史上、日本の水墨画を(中国の水墨画から)自立させた」と称され、日本水墨画の最高峰ともいわれています。

松林図屏風(左隻)

松林図屛風(右隻)

わたしの拙い表現力ではうまく説明できないので、e国宝の解説を引いてみましょう。

近くで見ると激しい筆の勢いに圧倒されるが、距離をとると湿った空気に包まれた松林があらわれてくる。林のなかをひんやりとした風が流れ、木洩れ日が地面を照らしているかのようにみえるほどである。じっと見ていると松の木が、能を舞うようにゆらりと揺れてみえるかも知れない。

画面全体に霧が立ちこめ、左隻の松林は右端の雪山まで奥深く続き、右隻では向かい合った林がたがいに傾いて地面の起伏を暗示する。松葉や地塗りの筆致は荒い。ひんやりとした霧の中を歩いていると黒い影が現れ、松林に囲まれていて、かすかに山の頂が望まれる。一瞬の体験を永遠にとどめたような、静まり返った光景は、わびの境地ともいえる世界である。

e国宝 - 松林図屏風

正直、間近に見たときはちょっとさびしい絵だなと思ったのですが(津波で流された東北の松林のことを連想してしまった)、わびの境地と云われると「なるほど」と思いますね。再び見る機会があれば、その視点からじっくりと鑑賞してみたいと思います。*

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