空想商會

日々の記録。料理やカフェや雑貨の話題が多めです。

グラスホッパーにさよなら

俳優の高見のっぽさんが亡くなられていたことが公表されました。88歳でした。

ノッポさんといえば「できるかな」。NHK教育で放送されていた伝説的な工作番組です。わたしはリアルタイムで見ていた世代でした。おもしろかったなあ〜。

身近なモノで遊び道具を作るっていうコンセプトなんですけど、なんかスケールがやたら大きかったんですよね。

 

今でも覚えてるのは、天井から色水の入った20Lポリ袋みたいのを幾つもぶら下げて、穴を開けてから振り子みたいに揺らす遊びです。色水が穴からシャワーみたいに出て、床に飛散して予測できないパターンの模様を描いて楽しいねっていう。ええ、もちろん床はカオスになりますが。

子供心に「こんないたずらしていいの?」「でも面白そう…やってみたい」と思った記憶があります。だってノッポさんゴン太くん*1が「キャハハ〜」て感じですごく楽しそうにやってるんだもの。 

 

今にして思えば、あれは本物のアート番組だったなあ。

 

ノッポさんがしゃべらないっていうのがまた良かったんだと思う(最終回まで「口のきけない人なんだ」って思ってた)。

ノッポさんは子どもたちに何にも押しつけないし、ジャッジもしない。ただひたすら楽しそうなことをやってみせて、「こっちにおいでよ!」っていたずらっぽい目で誘うんだ。

だから昭和の子どもはみんなノッポさんが好きでした。決して誇張じゃなくて、わたし世代で「できるかな」を知らない人はまずいないし、ノッポさんが嫌いって人にも会ったことがない。

 

「それは役柄であって本人の人格とは別でしょ」って疑う人は、NHKみんなのうたの「グラスホッパー物語」を観てみればいい。本当に子どもが好きな人じゃなきゃ、あの傑作は作れない。

 

ご冥福を心よりお祈りいたします。*

*1:もうひとり(?)の出演者。茶色っぽい色のナゾの生物(哺乳類っぽくはある)。ふごふご鳴き声らしき音は立てるが言葉はしゃべらない。ちなみにノッポさんもしゃべらないので、今思うとシュールというか、よく番組として成り立っていたなと思う。