空想商會

日々の記録。料理やカフェや雑貨の話題が多めです。

クマを殺すなと言うけれど

うちのご町内でもヒグマの目撃情報が散発しています。

昨年も1度あったけれども、今年はさらに多いです。すでに4件は目撃されていて1件は家から1kmしか離れてない所。

山麓に近い場所に住んでるので仕方ないけれど、やはり怖いですね。幹線道路をいくつか挟んでいるので、我が家の近くまではそう簡単には来ないと思いますけど。

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Yahooニュースで「クマを殺すな」という苦情電話が自治体に沢山かかってきているという記事を読みました。

こういう記事を読むと「うーむ」と思ってしまいます。記事の限りでは、電話の主は都会に住んでいる人であり、当該自治体の住人からの苦情は1件もないのです。

クマをダシにして鬱憤ばらししてるだけのクレーマーも多そうですが、そういうのは論外として、悩ましいのは善意で電話をかけている人たち。主張自体は正論だけど、当事者意識はない人たちです。

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クマの縄張りを侵しているのは人間だというのも、人間の命がクマの命より重いというのは人間のエゴだというのも、実際そのとおりなんです。彼らの主張は正しい。

でも「だからクマを殺すのをやめよう」とはわたしは言えません。野生のクマと対峙した時、「クマを生かすか殺すか」という選択権が人間にあるとは思えないのです。

相手を傷つけずに制することができるのは相手より自分が圧倒的に強い場合に限られます。クマの駆除にあたるのは一般人より遥かに戦闘能力の高い人たちですが、それでもクマに比べたら赤子のようなもの。

射殺するのでさえ命懸けなのに、生捕りとなれば更なるリスクを覚悟しなければなりません。少なくとも部外者が簡単にそれを言うべきではないでしょう。*1

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クマを生かすか殺すかというのは、都会の人にとっては動物愛護の問題なのでしょうが、道民にとっては人命救助の問題です。

もちろん殺さずに済むものなら、それが一番いいのですけれど。でも、クマに直接対応する人が言うならともかく、自分は安全な場所にいて「捕獲して山に放てばいい。戻ってきたらまた捕獲すればいい」と軽く言い放つのは、やっぱり違うと思う。

ただ、「クマが人里に降りてこないように対策を講じるべきだ」という意見には全面的に賛成です。里山保全活動とか、クマの生態を知るための基礎研究とか。狩猟のエキスパートの育成と共に、そういう活動を応援していきたいものだと思います。*

*1:散弾銃の射程距離は50〜500m、麻酔銃の射程距離は15〜40m。また麻酔銃は連射ができず、扱えるのは獣医師だけ。ちなみにクマの走る速度は時速60km、ウサイン・ボルト選手の走る速度は時速44kmと言われています。