空想商會

日々の記録。料理や植物の話題が多め。ブクログにもいます→ https://booklog.jp/users/shiosato

釣鐘水仙

花壇がにぎやかになってきました。

今年驚いたのは、いつの間にか釣鐘水仙が咲いていたことです。植えた記憶がないのですけれど、可能性は2つあります。

  1. 鳥の落とし物からたまたま芽吹いた
  2. 自分で植えたのに忘れた

どちらも充分ありえることです。

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と言うのも、4年くらい前、お向かいのお爺さん(仮に佐久間さんとします)から何種類もの草花をいただきました。都忘れ、鈴蘭、黄水仙苧環、擬宝珠、等々…

90近いお年の方でしたけど、足腰も頭もしっかりしていて、奥様を亡くされてから10年以上もひとりで暮らしていたのでした。その世代の男性としては珍しく、市内に住む子供やヘルパーさんの援助を受けつつ、生活はほぼ自立してやっておられました。

庭仕事が趣味で、松や庭石を配した和風の庭を維持していたのですが、90歳を目前に自ら施設に入ることを決断されました。まだお元気だったのですが「自分の始末を自分の意志で選べるうちに」ということで。

そこで自宅を売りに出したのですが、広い敷地はそのままでは高額すぎて、今どきの若年世代の手の届く値段になりえません。そこで土地を分筆して売却することにしたのですが、更地にして家を2軒詰めて建てるため、見事な庭は取り壊されることになってしまったのでした。

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庭の植物を譲り受けたのは、その時です。我が家の庭は狭いので樹木は無理だったけど、小さなスペースで育てられる草花を、うちの庭に移植することになりました。

限られた時間だった上に、佐久間さんも何の花だったか忘れてしまっていることもあり、何をどこに植えたかも曖昧でしたが、ともかくも取り壊しにはぎりぎり間に合わせることができました。

取り壊しの日、大きな重機が数台やってきて、建物も庭もあっという間に更地にしていきました。半日もかからなかったと思います。30年以上かけて作りあげてきた見事な庭も、壊す時は一瞬なのでした。

本人の同意の上とはいえ、佐久間さんがすでに施設に移られてこの場にいらっしゃらないことが、唯一の救いに思われました。

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それからひと冬越して、いただいた草花が我が家の庭で芽を出しました。もともとお向かいの庭のものですから、土地との相性が良かったのでしょう。大した手入れもしていないのに、次々と花が咲きました。

黄水仙から始まり、苧環、鈴蘭、擬宝珠(これは春はまだ葉っぱだけ)、都忘れと続きます。そのほかにも名称不明の多肉植物やハーブのような草もあります。

でも、釣鐘水仙は今年はじめて気づきました。前からあったのに見逃していたのか、今年はじめて咲いたのかわかりませんが、瑠璃色の花弁が緑色に映えてとてもきれいです。凛とした気品を感じます。

ちなみに佐久間さんはまだご健在で、年に数回、諸用のついでに我が家に立ち寄ってくださいます。庭の花を眺めて雑談するのが常ですが、今年は話題がひとつ増えました。釣鐘水仙の写真なりともお見せできればと思っています。*